蒲焼きと檸檬と娘のサロン

「頑張らないうつヌケ」をモットーに。だる~く、ゆる~く、時にはタイトにチートに。

奇跡も魔法もへったくれもあるんだよ。


 

なるよ  なるよ  こだまになるよ


あなたの声が  あなたの声で


なんでも自由  いつでも自由


心を開いて   考えないで


・・・


「セ―――ック・・・。」


「言うと思った。」


「大人の欲望で山を汚してはなりませんよ、ドドリアさん。」


「海のバカヤロ―!!」


「海ねえじゃん。」


「バァカ!遠くに見えるベ?」


「ちっさ!!」


「おめえがちいせえんだ。目に見えるものがすべてじゃねえんだ。」


「なんかかっけえな。」


「どれ、もう少しだ。」


「ああ、ようやく…。


もう少しで頂上だな。」


「いや、もう少しでイスタンブールって言おうとしたんだが。」


「どこにイスタンブールあんねん。だったらこっから飛んで行けよ。」


彼らはまた登り始めた。


登ってきた道を振り返る。


「人生の近道は、たいてい一番悪い道だそうだな。」


「ふむ、登ってきた道はたしかにそう言うとこはいっぱいあったけど、こっからはなるべくラクしてえな。」


「・・・。


ここは人生道場か何かなのか。さっきからだまって聞いてればお前ら。


もっと楽しめよ!!」


「クセェ…。なんか、クセェな。


神聖にして犯すべからず。」


「"冒す"じゃねえの?」


「オレはブチ犯してえんだよ!!」


「きめえ…。」


「個人的な願望きた。


なにをかは知らね―けど。」


「あ、"侵す"みたいよ。」


「みんなして違う。オレらの教養の低さがにじみ出てしまったか。」


「坊やだからな。」
 

「好きにやってくれ。


オレはさっさと頂上にいるクマ先生に、先日の落とし前をつけにいく。」


「クマ先生?」


「あれだな、カ―ルおじさんみたいに、口の周りが黒いひげで囲まれてるおじさん。」


「ちげ―よ。


とんでもないべっぴんさんだぜ?」


「・・・。」


「前方よし。ぶち犯しに行くか。」


「なんか、色々ツゴウよく展開してるな。今までの苦労はきっとてっぺんで報われるんだな。


こりゃ、この流れだと頂上は秘密の花園かもな。」


「オレ、クマ先生の彼ピッピな。お前はとなりの○ッコロさんとして、刺身のツマに徹してくれ。おこぼれくらいはやるから。」



すたすた。


彼らの足取りはにわかに軽やかさを増した。


そして・・・遂に・・・、


「来たな。」


「ああ。」


「てっぺんだ。すごい鋭峰だったな。」


「ああ…。


オレたちは勝ったんだ。おのおのがおのおのの最大の敵である自分自身に…。"聖戦(ジハ―ド)"に。


強い意志と不動の信念、そしてあきらめない心。オレたちの勝利だ。


ともに戦い、手を取り合って勝利を勝ち取ったんだあ!!」


「ウヒョ―――!!勝利の美酒を!!」


「・・・。ちっ…お前ら…。しょうがねえなあ。もう脱いでやがる。


おいおい、フルチンでヘッドスライディングすると危ね―ぞ?」


がしゃ、がしゃ――ん!!


「・・・。」


「・・・ありゃ。」


「ついはしゃぎ過ぎて器物を破損してしまった。住人のクマ先生に謝らないと。」


「どうも、失礼しますよ――。」



がちゃ。


「ん?」


「ん?」


「・・・。」


「・・・・・・。」


「誰ですか、おじさんは。」


そこにいたのは。


林家ぺ―氏のような衣装をまとった、パパイヤ鈴木氏似のけったいな叔父貴であった。


「ふむ。久々の来訪者だな。さっき、すごい音がしたが…。」


「あ、こりゃ失礼しました!!


ついはしゃぎ過ぎて、やらかしちゃいまして…。」


「ああ、ガラスをな。


まあ、よくあることだ。気にするな。ケガはなかったかね?」


「・・・。」


「優しいんですね。器のでかさを感じます。」


「時に・・・。」


「ん?」


「クマ先生はこちらにいらっしゃいますか?」


「・・・。


・・・クマ先生?


いや、心当たりはないねえ。


わしは、ここにずっと一人で住んでいる、田代貞光だ。」


「・・・。」


「・・・・・・。」


「・・・。」


「何を固まってるかは知らんが、まあもてなしはそれなりにはしよう。こう言う場所だから来訪者は極めて珍しくてな。


そこにメニューがあるだろう。


各自、所望するものを決めておくがよい。」


すたすたすた。


「死んだ魚の目みたいになってしまったな。」


「ああ…。オレは心が折れかけてる。」


「オレはタマシイを…。ってまあ、いいか。悪く考えても仕方がない。


胸が違うイミでいっぱいだし、腹も もたれるけど、とりまなんか食おうぜ。」

 

パラパラパラ・・・。


「・・・。」


「・・・・・・。」


「・・・何これ。」


「"乳をもって乳を制す。"


"乳を揉んで乳を制す。"


"乳は乳に帰りなさい。"


"あなたの乳に帰りなさい。"


"不法侵乳者は通報します。"


"乳よく乳を制す。"


・・・


"土俵際ファック。"」

 

「あの~?田代さん?」


「なんだね?」


「これのどこのどの辺がメニューなんですか?」


「・・・ん?


居酒屋風にね、ちょいとミルクを使った酒であったり、粥物であったりに洒落たネ―ミングを頑張ってつけてみたのだ。」


「・・・。・・・なるほど。」


「その中で、なんで


"土俵際ファック"だけが"ファック"なんですか?」

 

「ん?隠しメニューに"不謹慎ファック"もあるのだが、それにするかね?」


「いやその・・・。」


「う~んそもそも、不謹慎じゃないファックなんて、この世にあるんでしょうか?」


「謹慎ファック。」


「たんに"不"をとっただけですよね?


意味不明じゃないですか。ヘンなワ―ドを量産しないでもらえますかね。」


「木更津ファック。」


「だから!やめろっつってんだろが!!」


「お嬢様ファック。」


「直球ど真ん中きた。」


土偶ファック。」


「・・・。


・・・なんかその、お楽しみのところ誠に恐縮ですが、読み手のツゴウとか、は○なブログの風紀とか考えてます?」


「ただの汚ならしい語録ですよね?」


「う~む、受けが悪いな。改善の余地ありか。


あんまりこの手のことがキライそうには見えなかったのだが…。」


「・・・。


・・・いやまあ、別に嫌いじゃないですけど。オレらも男ですし。」


「ほれ見ろ。」


「・・・。


じゃあ聞きますが、あなたは"変態界のレジェンド"であり"ゴッド"だから、こんな高いところにいやがるのですか?」



「いかにも。


下界を見下ろすのは気持ちがいいものだし、気持ちがいいことは好きなものでな。」


(なにが"いかにも。"だよ。左側だけ口角上げやがったぜ?)


(ケムリとなんちゃらは…ってまあ、言うまでもないか。)


「だがね。」


「・・・は?」


「私は"変態紳士"なのだ。ごくごくまれにうら若き女性が来ることはあるが、とって食ったりはせんよ。」


(いちいち聞いてね―んだよ!!)


(取って付けたみたいに言うな!!)


「おい。


こっちにも別メニューあるぜ。」


「どれ…。どうせロクでもねえことしか書いてねえんだろうが…。


・・・


第6位:キ○セク。」


「・・・"きめせく?"」


「第6位、ってなんすか?」


「…。ああ、"別に知らなくても世の中渡って行けるワ―ド第6位"にランクインしてるな。


第11位:ぽ○ちお  


第125位:便所飯


・・・。」


「・・・・・・。」

 

「・・・。どうでもいいけど、Wi-Fi繋がるんスね。」


「お客様の利便性をはからんとな。それに、自前で作るなど、屁でもない。」


(たま―に、屁―みたいに飛ばされて4合目くらいまで落とされた方がいいかもな。性根と性癖が腐ってるしな。)


(お前堕としてやれよ。物理はムリだから、精神的に追い詰めろ。)


(やだよ。変態ってだけで、善人じゃん。)


「・・・。ナニをぶつぶつ言っておる?」


「イ、イヤ?な、なにも!!楽しい人だなあ、と微笑ましくも羨ましく思ってました!!」


「うむ!!Have  a  nice  tine  and  Have  a  nice  day!!


なはははははは!


草ww!草www!!草wwwww!!


大草原不可避wwwww!!」


(ヘンなワ―ド知ってるな。)


(クソリプおじさんっぽいけど…。どう見ても…)


とりとめもないやり取り。


なんだかんだで、田代氏の人のよさ加減にぬるま湯加減になっていき、相好を崩していく登山客たち、であるらしい。


彼らとて例外ではないのだった。


彼らは一泊二日で田代氏の敷地内にある宿泊施設に滞在し、なんだかんだで丁重に礼節を尽くし下山の途についたと言う。


これはそう言う、心あたたまる人情物語の一幕であった。/終わり。