蒲焼きと檸檬と娘のサロン

「頑張らないうつヌケ」をモットーに。だる~く、ゆる~く、時にはタイトにチートに。

うんこ座りで図面を描く男。

どうも!

 

さてさて、ちいとバタバタはしていたものの、昨日はノリでYou tubeの「湘南爆走族」の動画を2本も観てしまい更新をサボってしまったのであった…。なつかし~

 

湘南爆走族 (電子書籍版) 1

湘南爆走族 (電子書籍版) 1

 

 

私は暴走族マンガ、不良マンガが好きである。

 

無論私が暴走族に属していたとかヤンキーであったとかの過去はない。真逆のもやしっ子であった。しかしながら、彼らとは多少の縁があったりもする。

 

最近だと「特攻の拓」とか「湘南純愛組」、「カメレオン」などのマガジン作品(いや、これらとて既に古典的名作になったが)、あとは少年キングに記載されていた「Bad Boys」、あとは高橋ヒロシさんの「クロ―ズ」や「ワ―スト」あたりのコミックを持っていた。

 

同じく古典的名作である「Be Bap Highshcool」や「ろくでなしブルース」などに関しても、コミックまでは持っていなかったが大体のエピソードは把握している。

 

だが、私にとっての原点はやはり「湘爆」である。当時2,000万部くらい売り上げたそうだから一つの時代を築いた作品と言っていいだろう。同作者の「荒くれKnight」なども勿論読んだ。

 

「湘爆」のコミックは過去に全巻を集め、引っ越しの時に売ってはまた引っ越した先で全巻揃える、みたいなことを繰り返すほど好きでもあった。

 

なぜこんなにも暴走族マンガが好きなのか。

 

話は過去にさかのぼる…。

 

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私の中学校時代とか高校時代。このあたりが多分暴走族とか不良の最盛期だったように思う。私の中学は荒れており、授業中でも他校のリ―ゼントにボンタンのガチのツッパリ生徒が何人か木刀を携え廊下をうろついたり、教師への暴行などが横行していた。

 

暴走族出身の有名人と言うと、宇梶剛士さんや竹原慎二さんをはじめ、ヒロミさんやウド鈴木さんなんかが思い浮かぶ。まあ、とにかくおっかなかったのだ。凶器を携えるのではなく肉体全体が凶器みたいなヤバい人たちである。

 

私が中学生の時の番長はじめ、番格グループの何人かは地元の暴走族に半分くらい足を突っ込んでいた。

 

番長は近所の893の息子で、中学生とは思えないガタイと迫力を備え、しばしば「湘爆」の主人公である江口洋介のスタイルとおぼしき、紫のトサカにボンタンスタイルと言ういでたちでたま~に学校に来ていた。

 

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んでもって、教員からお前はこのままでは中学校ですら出られないぞ、とたびたび脅されてもいたらしい。

 

どうも彼は私に白羽の矢を立てた、らしい。たびたび番格グループがかわるがわる私の所に勉強を聞きにくることが多くなった。

 

前述書いたことを繰り返すが、彼らはとにかくおっかない。見た目からしてもう筆舌に尽くしがたい強面軍団である。

 

だが一方で情に篤く、義理堅いところがあった。私がいじめを受けた経験がほぼ皆無に近いのも、恐らくは彼らの威光があったのだろう。誰も私にヘンなちょっかいを出してくる者はいなかった。

 

私の机にかわるがわる一人二人、多いときは三人くらい集い、私を囲む。その光景を見た教師に何度も職員室に呼び出され、

 

「何かされてるんじゃないのか!?大丈夫か?」

 

と聞かれるのだが、

 

「いや、勉強教えてるだけです。」

 

と答えるのみだった。

 

彼らは小学校の低学年で習うような基本的な計算なんかがずっぽり抜けていることも珍しくなく、あんまり人に勉強を教えるのが得意ではない私の計算方法を聞いても、

 

「おお~♪おめぇやっぱり教えるのうめぇわ!」

 

などといちいち感動し目をきらきらさせたりする。

 

そんな彼ら、彼女たちにいつしかすっかり情が移り、私は私の個人の勉強を進めると同時に、どう教えたら彼らが、彼女たちが喜んでくれるのかを意識するようになった。私自身が楽しかったのだ。

 

ところがだ。

 

たまに、いや後に、結構な頻度で彼らの才気が爆発することがある。

 

「いや、おめぇそう言うけどよ、これはこうこうやった方がイケるんじゃねえか?」

 

などとツッコミを入れてくる。彼らの成長。

 

なぜ教員は、いや文科省の学校教育の指導方針は横並びのくそつまらん杓子定規の授業を押し付けるのか?私自身が、彼らを見てそんな中学生らしからぬ哲学的な疑念に叩き込まれることもたびたびあった。

 

いや、どんなきめ細かい生徒一人一人の目線を意識した授業のプログラムを構築しようと、当時はとにかくやんちゃな彼ら、彼女らは背伸びしたい年頃なところにさらに上乗せする形での暴走族・ヤンキーブ―ムである。

 

だが、あたかも金太郎飴みたいに没個性的な人種を量産するのが今も昔も変わらない国主動の社畜教育であり、そこからはみ出した者には社会のゴミみたいなレッテル、烙印を貼る。

 

当時は分からなかったが、障碍者としていっとき社会の冷たい目に晒されたこともある私は、今となっては彼らの当時置かれていた立場や心は一定理解できる。

 

一方的に彼ら、彼女たちを「悪」とジャッジする、「罰と報酬」の観点で動く社会と言う巨大なシステムそのものが本当に個人の最大限の幸福と言う所を希求しているのか。これは未だに自分が自分にしばしば問いを投げ掛ける疑念である。無論これは理想論でしかないのだが。

 

さて、めでたく卒業を迎えた日。番長は相変わらず湘爆スタイルであったが、きちんとおとなしく壇上で証書を受け取った。グループの歴々も誰一人、欠けることなく卒業の刻を迎えた。その光景を、なんとも名状しがたい温かい気持ちで自席から眺める。

 

別れの時。彼らに校舎裏に呼び出された。

 

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番長が言う。(地方なまりは極力省いて再現)

 

「卒業の時まで校舎裏っての、やめろよw。誤解されるぞ?」

 

「いやあ、おめぇにはホントに世話になったな。ホントに助かったわ。ヤバいんだよ、さすがに中学校も出ねぇと親に○されるからな。」

 

「そうか!お前でもさすがに親は怖いか!先生はぶん殴るわ、怖いもんなしだと思ってたよ。卒業できてよかったじゃないか。」

 

当たりめえだ。うちの親を怒らせたら…。まあ、いいわ。それは。あのなおれあ、北海道の函館行くんだわ。」

 

「また…。随分と寒いとこ行くんだなあ…。進学か?」

 

「いや、オレがんなまっとうなとこ行けるかよ。まあ、土建屋だ。それはそうとな。オレはこん先、おめぇを守れなくなる。」

 

・・・。

 

「守られていた」のは知っていたが、彼らしい不器用で武骨な切り出しだった。すっとぼけながら礼を言う。

 

「いや、オレもほとんど誰かに危害を加えられるような目には遭わなかったし、お前たちにしょっちゅうエロ本回してもらったしまあ、すんげえ恩は感じてる。でも…。うん、自分の身は自分で守れ、か。でも、オレが行く高校なんて、んな血生臭いとこからは無縁なおぼっちゃま学校だぞ?それはいらん心配じゃねぇかなあ。」

 

「まあ、そうだな。だけど、体は鍛えといて損はないと思う。お前、どっからどう見ても、普通にいじめられっ子だからよ。牛乳飲んで筋トレしろ。とりあえずそんだけでもいい。おめぇは将来大臣だろうからよ、頭に関しては別になんもすることはねぇけど、嫌なやつは別に手~とか足とか出してくるやつばっかじゃねぇからよ。なんかあったら、こいつらが地元に残るからこいつらを頼れ、な?」

 

「いらんわそんなん!いちいちなんかあった都度こいつらがぞろぞろ来たらヤバいだろ?分かったよ。言う通りにする。体鍛えるよ。ありがとな。気持ちが嬉しいわ。」

 

「あ、プロテインの方がいいかもなあ。」

 

「いいよ、牛乳で。」

 

そんな、今思い返せば強面の不良10人くらいともやしっ子の異様な雰囲気を醸した会話が終わる。ああ確かに、校舎裏でこそこそやった方がよかったかもしれない。外部の人間が見たら誤解して通報するかもしれない。

 

 最後は結構な抱擁に近い男臭い別れ方をした。その後、たま~に彼らのうちの地元に進学したうちの何人かに会うことはある。今は…。彼らよりガタイが良くなった…かもしれないw。彼との約束は一定果たせたと言う訳だ。

 

彼らは勿論皆、まっとうに稼いでいる。地元にでっかい建設会社(勿論カタギですw)があるのだが、そこの社長が彼らの中の一人。そしてその会社に番格グループが何人か属している。

 

役所時代、ちょいとややこしい問題で彼らと利害が反した事態に陥ったことが一度あったのだが、互いの立場と私情を切り分けて考え、けして道義を外すことは互いになかった。

 

私は暴走族・不良マンガが好きである。これまでも、これからも。

 

彼らとの奇妙な縁が、それに一層華を添えてくれているのだ。

 

そんなところである。では。/おしまい。

 

 

 >切り株おやじ様(id:masuhiro6595)

 

コメントありがとうございます!

 

縁の大切さはどれだけ語っても語り尽くせないほどの…う~ん。長いことかけて、未熟な筆で語れることは語っていきたいです。

 

「狡猾さ」は面白い観点ですね。「清濁併せ持つ」と言いますが、優しいだけでは世を渡ってはいけません。でも、個人的に絶対に「義」は欠かしちゃいけないので、結構迷いが出ることもありますね。